東京・港区でワクチン接種後に131人が感染
【データ元】「東京都 新型コロナウイルス感染症陽性者数(区市町村別)」(東京都オープンデータカタログサイト)
東京都港区のみなと保健所はこのほど、新型コロナウイルスワクチン接種後に感染した人が6月中旬以降の5週間で131人に上ったと発表しました。この発表内容を読むと、ワクチンの効果やデルタ株の感染力、人々の行動心理などが見えてきます。
新型コロナワクチンについてのおさらい
日本で現在接種に使われているのはファイザー製とモデルナ製ですが、いずれのワクチンも2回の接種が必要で、しかも中和抗体ができるのは2回目の接種後1〜2週間を経過してからと言われています。
また、従来株に対する有効率は95%前後でしたが、現在日本各地で感染拡大が進んでいるデルタ株については有効率が下がるとのデータもあります。
つまり、2回接種したからといって、感染しないわけではないというのが、大前提としてあります。
2回接種後2週間経過していたのは15人
みなと保健所の発表によると、6月16日から7月21日に新型コロナ感染の届け出があったのは1478人で、うち131人が1回以上のワクチン接種を受けていました。1回目接種後が111人、2回目接種後は20人でしたが、効果があるとされる2回目接種後2週間を経過していた人は15人でした。
重症者はおらず、ほとんどが軽症
同保健所によると、接種後に感染した131人のうち、121人が軽症で、重症者はいないとのことでした。保健所はこれについて「ワクチンの効果が出ている」との見方を示しています。
20〜50代が中心
世代別ワクチン接種後の陽性者数(6月16日から7月21日までの港区受理件数)
【データ元】「みなと保健所からのお知らせ(7月28日)」(港区公式ページ)
感染者の年代別では30代が31人、40代が27人、20代が24人、50代が20人となりました。感染場所については、「不明」が約6割で最も多く、わかっているものではパーティーやイベント、会食、家庭内といったマスクを外す機会での感染が多かったとのことです。
ワクチンを接種してもマスクや消毒は必要
感染者の中には「1回目の接種を終えて、安心してすぐに飲みに行った」という方もいたようですが、上に書いた通り、ワクチンを1回接種しただけでは、感染が防げるわけではありません。
具体的で詳細な情報発信を希望
今回のみなと保健所の発表は、非常に具体的で示唆に富む内容となっており、実際のワクチンの効果や、ワクチンをブレークスルーするデルタ株の感染力、人々の行動心理などが読み取れます。
行政サイドが単なる数字の増減ではなく、こうした具体的で細かい情報を発信することで、受け取る側も自分の行動に置き換えやすくなり、一人一人の感染に対する意識も変わってくると思われます。
各地の自治体や保健所には、こうした形の情報発信をどんどん進めていってもらいたいですね。