コラムワクチン中和抗体

減少する中和抗体量、どのくらいあれば安心できる?

コラム

減少する中和抗体量、どのくらいあれば安心できる?

以前、「感染を防ぐのに必要な中和抗体の量とは?」の記事で、感染を防ぐのに必要な中和抗体量について書かせていただきました。その後、世界でさまざまな調査が行われ、時間が経つとともに中和抗体量が減少することが明らかになっています。今回はどのくらい中和抗体量があれば安心できるかについて、もう一度考えてみたいと思います。

感染を防ぐ抗体価の目安は4160AU/ml

前回の記事でも書かせていただきましたが、新型コロナウイルスの感染を防ぐのに必要とされる(ウイルス量を半減させる)IgG中和抗体価について、「Nature Medicine」に掲載された論文では、4160AU/ml(95%信頼区間)と報告されていて、この抗体価があれば95%の確率で新型コロナウイルスの感染を防ぐとされています(Joseph E. Ebinger, et al: Antibody responses to the BNT162b2 mRNA vaccine in individuals previously infected with SARS-CoV-2. Nature Medicine 27, 981–984, 2021、※1)。

ファイザー製の抗体価、3カ月後に4分の1の根拠は?

メディアなどで「ファイザー製ワクチンは3カ月後に抗体価が4分の1になる」と報じられることがあります。その根拠となっているのが、今年8月に藤田医科大学が発表した研究データになります。以前、こちらの記事で書かせていただきましたが、4分の1になったとしても、1回目接種後よりも多く、感染者が持っている抗体価を上回る場合があります。また、重症化予防効果は引き続き保たれているので、減ったからすぐに追加接種しなければならないとは限りません。

70代男性の4カ月後の抗体量は?

テレビ西日本が10月10日、非常に興味深い記事を掲載しました(※2)。5月にファイザー製のワクチン接種を終えた76歳男性の4カ月後の抗体価について調査したのです。男性とともに抗体検査を受けた5人(接種完了後4〜6週間経過、30〜60代)はファイザー製の4人が4069〜1万2000AU/ml、モデルナ製の一人(30代女性)が3万9000AU/mlとなりましたが、76歳男性の抗体価は330AU/mlでした。

ブースター接種は必要か

この男性の接種直後の抗体価がわからないので、どれだけ減少したのかはわかりませんが、時間とともに減っていくのは間違いありません。重症化予防効果は引き続き保たれますが、多くの方は「ワクチンを打つなら感染自体を防ぎたい」と思っておられるでしょう。この男性のようにできるだけ早く3回目のブースター接種を受けたいと思われている方もいらっしゃいますし、2回目よりも副反応が大きくなるのを懸念する声もあります。政府は今年12月から医療従事者を対象にブースター接種を開始する方針ですが、今度こそ、接種したい方ができるだけスムーズに接種できる体制を取ってもらいたいですね。

タイトルとURLをコピーしました