抗体保有率97%! インドの首都から見える「集団免疫」とは?
インドの首都ニューデリーで、新型コロナウイルスの抗体保有率が97%に上ったことがわかりました。感染が急拡大した後に感染者が一気に減った理由についても、一部の専門家は「集団免疫としか考えられない」と述べています。
1日40万人感染していたインド、首都では抗体保有率97%に : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン https://t.co/umdq9L2yoE
— アジアトラベルノート (@asiatravelnote) October 29, 2021
4〜5月にデルタ株が拡大
【データ元】India Coronavirus Pandemic Country Profile – Our World in Data
インドでは今年4〜5月にデルタ株の感染が急拡大し、ピーク時には1日あたりの新規感染者数が全国で40万人、ニューデリー首都圏で2万8000人に達し、医療崩壊した様子は日本でも連日報じられました。
ワクチン接種は現在も進まず
感染が拡大した理由としては、デルタ株の感染力や、不十分な感染対策などとともに、ワクチン接種が進まなかったことが挙げられています。感染ピークの5月1日時点で、1回以上の接種率が9.2%、必要回数の接種完了率が2%しかなく、感染が拡大しやすい状況でした。その後、接種率は徐々に上がりましたが、10月28日現在の接種率が52%、接種完了率が23%で、他の国と比較すると、今なお接種が行き渡っていないことがわかります。
7月以降はなぜか感染者が減少
感染ピークから減少傾向に転じると、ロックダウンも解除され、マスク着用などの感染対策もまた不十分な状態に戻りましたが、ニューデリー首都圏の新規感染者は連日100人以下となっており、ピークの2万8000人から大きく減少しています。これについて専門家は「集団免疫でしか説明がつかない」と述べています。
9〜10月の調査で抗体保有率97%
デリー首都圏政府が9〜10月に実施した調査では、対象となった2万8000人のうち97%が抗体を保有していたことがわかりました。前回1月の調査では56%だったことを考えると(それでも1月で56%はかなり高い数字ですが)、デルタ株の蔓延で大きく増えたことが明らかです。首都圏政府の保健相も「大部分は感染で、残りはワクチン接種によるものだ」と語っています。
「集団免疫」だったとしても…
現在はニューデリーの新規感染者は50人以下の水準まで下がっており、感染の大きな波は来ていないことがわかります。しかし仮にこれが「集団免疫」を獲得した状態であったとしても、毎日50人は感染してしまうということも言えそうです。インド全体では10月28日に1万6156人が感染し、733人が亡くなったと発表されました。インド全体で免疫保有者が増えているとしても、連日これだけの方が感染し、亡くなっています。
今の日本の状態が「集団免疫」かどうかの判断は専門家の方にお任せしますが、今回のインドの調査結果は「集団免疫」後の世界が「ゼロコロナ」ではないことを物語っているのではないでしょうか。